2005年12月12日
児童書「妖精にさらわれた男の子 アイルランドの昔話」
この半年くらい、ノーベル文学賞受賞作家の作品を読み進めています。
で、ようやくこの人の作品に到着!
アイルランドの詩人、ウィリアム・バトラー・イェイツ氏。
アイルランドの妖精譚を文学作品として「ケルトの薄明」を発表。
1923年にノーベル文学賞を受賞しています。
で、今回読んだのはイェイツの作品を子どもむけにまとめた童話集。
アルテミス・ファウルファンとしてイェイツ作品は本歌として必読の書かと思いまして。逆とりかえ子のアルテミス・ファウル・ストーリーの
…まんまです。笑。
ちなみに↑の本は図書館で借りて読みました。
パトリック・ジェイムズ・リンチ(Patrick James Lynch)氏による挿絵が秀逸です。
普通のイラストと影絵のような、シルエットだけ黒塗りのイラストが掲載されていて
表紙は普通の方。影絵の方が、妙にこわくて良い感じ。
子どものころ見てこわかったNHKの人形劇みたいな雰囲気です。
この影絵イラストが妖精たちの愉快で邪悪な、陽気で親切な、残酷さにぴったり。
たぶんイェイツ氏のこの作品に登場する「妖精たち」こそ
世界中の多くの人たちがイメージする「妖精」の原型なんだろうな、と思います。
この物語に登場する人々は妖精のことを「妖精」なんて呼んだりしません。
「善き方」(GoodPeople)とか「ちいさな人たち」(LittlePeople)なんて風に呼ぶ。
不思議な距離感。
この本の冒頭に収録されている「妖精にさらわれた男の子」の詩は
イェイツ本人の創作です。
この詩はいろんな人に訳されているけど、私はこの児童書の訳がけっこう好き。
この子は、われらとくるのだから、
人里はなれた水辺へ森へ、
妖精とおててつないで。
この子にはまだわからない
悲しみにみちたこの世をのがれて。
…おてて、か。
原書探して読みたいな〜。(またか。)
青空文庫に芥川龍之介が訳したイェイツの作品が掲載されています。
http://www.aozora.gr.jp/index_pages/person1085.html
イェイツもすごいけど、龍之介さんもすごい。
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