2004年12月04日

第5回「星と呼ばれた少年

アルテミスファウルのファン向けオススメ作品紹介コーナー第5回目
今回は小説です。
アルテミスファウルといえば「アイルランド」。

1巻の冒頭では、ホーチミンの妖精がアルテミスにむかって「イギリスさん」と声をかけます。
それに対してアルテミスが「正確にはアイルランドだよ」と答えるシーンが妙に印象的ですが、
アイルランドとイギリスの関係って、わかっているようでわかっていないかもしれない。
知っているようで知らないかもしれない。

そんな時に読んだのがこの小説でした。

星と呼ばれた少年
星と呼ばれた少年

これは現在、全英でベストセラーとなっている作品です。
舞台は100年前のダブリン。(<ファウル邸のあるところ。現在はアイルランドの首都)
この時代アイルランドは英国本土の支配の中にあり、「アイルランド」という国自体が存在しませんでした。
街は浮浪児、貧困、病気、無数の死であふれかえっています。
主人公の少年はそんな環境のなか、ダブリンで誕生し、ダブリンの路上に飛び出します。
やがて彼は成長し、アイルランドの独立戦争にかかわることになるのです。

この作品を読んで、アイルランドの独立戦争に対するイメージは
「歴史として知っていた」ものから、大きく変化しました。
そして北アイルランド問題がどうしてあそこまでこじれたのか、
どうしてあんなにも過激な争いが行われたのかについても。
この作品は、表面的なことだけでなく、はじめて、もっとふかいところまで意識するきっかけになりました。

アイルランド=妖精、緑・白・オレンジの国旗、シャムロック、アイリッシュ・ウィスキーのイメージだけでなく。
U2!エンヤ!だけでなく。笑。
最近ではIT産業の発展でもめざましいもののあるアイルランドですが、
ほんの一世代前まではこんな時代があったんだな…と。

この物語では主人公ーの両親たちが出会い、ヘンリーが生まれ、成人するまでの姿が描かれています。
しかし、このヘンリーがもうめちゃくちゃモテるんです。笑。なんなんだ一体…!ってくらいモテる。
生まれたときから大きかったヘンリーは14才で身長188センチも成長する…。
…アイルランド的人気のある男性はおっきいとゆー傾向でもあるのでしょうか。

そうそう、この時代、アイルランドからアメリカに移住するひとたちがたくさんいたそうです。
(「アンジェラの灰」でもアイルランドからアメリカに渡った少年が主人公になっていました)
たとえば「風とともに去りぬ」のスカーレット・オハラなんかに代表されるように
頭に「O」のつく人たちはアイルランド系の子孫だとか。
同様に「McDonald」(まくどなるど)とか「McIntosh」(まっきんとっしゅ)など
頭に「Mc」や「Mac」がつく名前もアイルランド系だそうです。

…アーティがMacユーザなのもここらへんと関係あるのかな?
(ちなみにパソコンのMacの名前はリンゴの品種である「McIntosh」に由来します)
(↑アップル社のパソコンだからリンゴの名前とひっかけたのだとか)
(パソコンといえば3巻における敵のJonSpiro(アメリカ人IT大富豪)って…
びみょうに某人物を思い出しておもしろいのです)

ちなみに、MacあるいはMcには「誰々の子孫」という意味があるのだそうです。
そこからもわかるように、アイルランドでは先祖をうやまうというか
なによりも「両親を大切にするという」意識が強いようです。
この作品でもヘンリーと両親の関係が泣けます。

さて、この物語は3部作のうちの第1作目です。
主人公のヘンリーが成長し、今後どのように生きるのか?
ひとりの人物をとおしてアイルランドの100年を追うシリーズになるそうです。
原書の方では2作目が発表され、またしてもベストセラーになっているそうです。
アイルランドの人にとっても、この作品はとても特別なものになるのだと思います。

Posted by asiz at 2004年12月04日 15:36
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